10分でわかる社会主義と共産主義の違い – わかりやすく解説

社会主義と共産主義の定義は非常に曖昧で、同一視される場合もあれば、明確に切り分けて語られる場合もあります。

その理由は、様々な歴史的な変遷があったためで、都度定義が修正されているからです。この記事では、歴史的な流れを含めて、この2つの違いを解説します。

社会主義とは何か?

まず、社会主義とは何でしょうか?

社会主義と一口に言っても、様々な定義や潮流があり、明確に「社会主義とは」と論じるのは非常に難しいです。

しかし、現在最も一般的な考えは下記の定義です。

資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す運動や思想

資本主義の弊害とは何か?

社会主義とは、「資本主義の弊害」に反対する思想です。

では、資本主義の弊害とは何なのでしょうか?

資本主義の弊害について詳しく述べたのはカール・マルクスです。「資本論」という著書が有名です。知っている方も多いのではないでしょうか?

マルクスは「資本論」の中で、資本主義の弊害を、構造的に解き明かしました。下記のリンクをご一読いただくとより理解が深まると思います。

10分でわかるマルクスの「資本論」入門。初心者にも分かりやすく要約・解説します。

お読みいただければ分かるのですが、資本主義の弊害は、簡単に言うと資本主義社会では、「資本家」と「労働者」の対立が深まり、いずれ崩壊するという考えです。

資本家とは、お金持ちのことで、お金を使って労働者を雇い、さらにお金を稼ぎます。資本家はどんどんお金持ちになって、労働者は貧しいままだとマルクスは考えました。

今でこそ違和感があるかもしれませんが、当時のイギリスは大恐慌によって街には失業者が溢れ、自由な資本主義は限界ではないか?というムードが漂っていました。

世界恐慌の原因と発生メカニズムを分かりやすく解説 – 影響や各国の対策も解説 –

そんな中で、これら資本主義の弊害を解決すべくして「社会主義」が誕生したというわけです。

社会主義の定義は幅広い

つまり、資本主義がもつ、資本家は労働者を搾取してどんどん豊かになるという構造を解決しようとする思想が社会主義ということになります。

例えば下記のようなものも社会主義に分類されます。

  • 社会民主主義
    北欧の国々が採用する国家体系。富裕層から多くの税金を取り、子供手当、高齢者手当などを拡充して、最低限の生活を国民に保障する。自由主義的な資本主義とは真逆。
  •  計画経済
    必要なものを必要なだけ生産して、国民に平等に配分するという考え方。富の偏りが起こりにくく、資本主義の問題を解決すべくして生まれた。
  • 無政府主義(アナーキズム)
    政府なんて必要ないという考え方。資本家と労働者という不平等な仕組みは存在せず、番人が平等なので争いが起きない。争いが起きないので、政府すら要らないという考え方。全く逆の個人主義的自由主義という考えも存在する。こちらは資本主義的な考え方で、資本家になるのも労働者になるのも自由という考えから来ている。同じアナーキズムでも全く別の意味を持つ。

共産主義とは何か?

共産主義は、社会主義の中に含まれる1つの思想です。

多くの記事で、社会主義をより推し進めた考えが共産主義だと書かれていますが誤りです。共産主義は社会主義的な思想の1つに過ぎません。先ほど説明したように、社会主義は、資本主義の弊害に反対し、より平等な社会を目指した思想です。

一方で共産主義は下記の通り定義できます。

共産主義は、生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制

つまり

  • 工場や土地、財産は全て国のものなので、みんなで共有しましょう
  • 生産されたものもみんなのものなので、均等に分配しますよ 

という考え方です。

例えば、旧ソ連などが代表的な共産主義国家でした。家や食料は国から分配され、みな平等な生活を送ることを強制されました。ちなみに、ご存知の通り共産主義の多くはファシズムへと向かい崩壊へと向かいました。

詳しくは下記のリンクで解説しています。

10分でわかるファシズム ーなぜ誕生したのか?わかりやすく解説

社会主義と共産主義の違い

社会主義と共産主義の違いは、ここまで読み進めれば理解できたかと思いますが、改めておさらいすると下記の通りです。

社会主義とは?
資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す運動や思想
共産主義とは?
生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制

共産主義は、社会主義思想の中に含まれるひとつの思想です。

社会主義と共産主義の歴史的な推移

なぜ、社会主義と共産主義は、ここまで定義が曖昧なのでしょうか?それは、この2つの思想の歴史的な推移をみると理解できます。

下記のような流れで変遷してきました。

1. 社会主義=共産主義 時代

先ほど説明した通り社会主義はマルクスによって提唱されました。そしてその思想を実現する方法として、共産主義が生まれ、長らくの間、社会主義=共産主義の時代が続きます。

「生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制」である共産主義をもとにした、社会の構築を目指していた時代です。

2. 社会主義=科学 時代

社会主義は、マルクスやエンゲルスによってより体系化され思想から科学へと変化します。後に下記の記事で解説しているように「マルクス主義」とも呼ばれ体系化されていきます。

5分でわかる「マルクス主義」入門。わかりやすく解説! 批判や問題点も解説

科学になったことで、様々な社会形態が模索されます。先ほど説明した社会民主主義などもそうです。北欧型の高福祉国家などもこの辺りから模索されていきます。

共産主義は計画経済的な考え方でしたから、社会民主主義が生まれたことで、社会主義という思想との明確な違いが出てきます。

3. 社会民主主義と共産主義の対立

社会民主主義と共産主義の考えは正反対と言っても過言ではありません。対立が深まり、共産主義は社会主義と明確に異なってきます。

政治政党においても、全く別の党として成立し始めます。

4. 共産主義の社会民主主義化

旧ソ連の崩壊により、共産主義的な考えが敗北すると、徐々に共産主義と社会主義の違いが曖昧になってきます。共産主義と言いつつ自由経済を取り入れ始めます。

ここまで来ると、両者の違いが曖昧になってきます。現代においては、共産主義と社会主義の定義がやや曖昧になってきています。

まとめ

社会主義と共産主義についてまとめました。再度おさらいすると下記のとおりです。

  • 社会主義は資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す運動や思想
  • 共産主義は、生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制
  • 共産主義は社会主義思想の中の1つの思想
  • 歴史的な推移を見ると共産主義と社会主義のちがあは曖昧になってきている 

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