5分でわかる「マルクス主義」入門。わかりやすく解説! 批判や問題点も解説

マルクス主義とは、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって確立した社会主義思想の体系です。

このマルクス主義は、思想体系全般を指す言葉であるという性質上、全体像が非常に捉えにくく、わかりにくく感じている方が多いのではないでしょうか?

この記事では、難解な「マルクス主義」を可能な限りわかりやすく要点を絞り解説します。マルクスやエンゲルスが何を伝えたかったのか理解できるはずです。

マルクス主義とは?

マルクス主義とは、マルクスとエンゲルスによって体系化された、社会主義的思想体系です。彼らが主張したかったことは、ざっくり説明すると下記の通りです。

マルクス主義の概要
資本家が独占する資本を、社会の共有財産とし、資本をいたずらに拡大する賃金労働を廃止し、協同、協力によって運営する社会を目指す。

我々は日々労働をして生活をしていると思いますが、貧富の差を全く感じずに生活している人は少ないでしょう。これらは、資本家が富を独占することによって引き起こされていると、マルクスは考えました。

資本家ばかりが、資本を拡大してお金持ちになるのに、労働者は一向に豊かにならない当時の社会を見たマルクスは資本主義社会の限界を予見しました。そこで、資本家の資本を社会に帰属させて分配するべきだと考えたわけです。

考えてみれば、そこまで違和感のある思想だとは思えません。技術の進歩やイノベーションは、特定の企業や資本家だけで生み出せるわけではないですよね。過去の知識や知恵の積み重ねがあったから、車やiPhoneは生まれたわけです。それを資本家が独占するから、社会が良くならないのだと当時のマルクスは考えました。

マルクス主義の根拠と背景

資本家の独占している富を、国民に分配するべきだと考えたマルクスですが、聞こえは良いですが、本当に社会はうまくいくのでしょうか?

そもそも今の資本主義でもある程度うまくいってるのではないか?そう考える人もいるわけです。

そこで、マルクスやエンゲルスは、時間をかけて思想的な根拠を積み上げました。それがマルクス主義として一般的に知られている思想となっています。思想の骨となる要素は、おおよそ3つの考え方です。

1. 共産主義

マルクスとエンゲルスは、「共産主義宣言」に基礎となる考え方を記述しています。

共産主義宣言で書かれている内容は、ざっくりと下記の通りです。

共産主義の要旨
過去の人類の歴史は、自由民と奴隷、領主と農奴、資本家と労働者などの階級闘争の歴史である。最近では、よりプロレタリアート(労働者)とブルジョアジー(資本家)の格差は広がりつつある。このプロレタリアートがブルジョアジーの独占する資本を、奪取し、社会全体の共同資本とすることで、より良い協力的な社会が実現するだろう。

これらの主張をより強固にするために、下記の2つの論理が展開されます。

2. 唯物論的歴史観(唯物史観)

唯物史観は英語に直すとMaterialismです。マテリアルは物質なので、直訳すると物質主義です。

世の中の歴史は、物質、つまり生産や消費などの流れによって決まっているという考え方です。つまり、社会の法律や国家、さらには文化もすべて、「物質的な生産や消費」という、いわゆる「経済」が土台となって作り上げられたという考え方です。

マルクスは経済学批判の序文の中で、唯物史観について下記のように説明しました。

  1. 生産力の発展段階に対応する生産関係の総体が社会の土台である。
  2. この土台の上に法律的・政治的上部構造が立つ。土台が上部構造を制約する。
  3. 生産力が発展すると、ある段階で古い生産関係は発展の桎梏(しっこく)に変わる。そのとき社会革命の時期が始まり、上部構造が変革される。
  4. 生産関係の歴史的段階にはアジア的、古代的、封建的、近代ブルジョワ的生産関係がある。
  5. 近代ブルジョワ的生産関係は最後の敵対的生産関係である。発展する生産力は敵対を解決する諸条件をつくりだす。それゆえ、資本主義社会をもって人間社会の前史は終わる

簡単に言えばこの思想は、社会は経済が規定しているという考えです。つまり、資本主義という経済活動の形態を考え直さなければ社会は変わらないとする考えというわけです。

ちなみに「政治学」や「経済学」に多大な影響を与えた「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(プロ倫)」は、この唯物史観を否定しています。経済が土台ではなく、宗教が経済を規定していると考えました。下記のリンクで詳しく解説しています。

5分でわかるウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(プロ倫)」要約

3. 経済学(資本論)

経済学は、マルクスの「資本論」をベースとした考え方です。

簡単に説明すると現在の資本主義経済では、「お金」「労働力」を買い、「労働力」を投下することによって「剰余価値」が生まれます。

その「剰余価値」がさらなる「お金(お金’)」を生み出します。そこで生まれた「お金(お金’)」でさらに「労働力」を購入して、さらに「お金」を生み出します。つまり、お金がお金を生む運動によって、労働者と資本家の格差は広がると考えました。

下記のリンクで、より詳しく解説していますが、資本主義社会では資本家が資本を蓄積して、労働者には資本が分配されないということを論理的に解明した本です。下記の記事を読むと、資本主義の欠陥を理解することができるかと思います。

10分でわかるマルクスの「資本論」入門。初心者にも分かりやすく要約・解説します。

つまり、マルクス主義とは、「唯物史観」によって世の中は「経済」が規定しているという世界観のもとで、「資本論」によって構造的に資本家と労働者の格差が広がり、資本主義の崩壊を予期しました。そのため「共産主義」的価値観のもとで、独占されている資本を労働者に分配し共通財産とすることで、より協調的な社会を作り上げようというのがマルクス主義の要旨です。

マルクス主義への批判

マルクス主義の主張に対して代表的な批判があります。特に唯物史観とマルクス経済学(資本論)に対して行われています。

唯物史観への批判

唯物史観は政治や文化、宗教に至るまでが、経済の土台の上に成り立つという主張です。しかしながら文化や政治は「経済」とは大きく切り離されて発展してきているとの批判があります。

確かにそうですよね。例えば経済の議会制民主主義や大統領制など、それらが経済原理の土台の上で成立しているとは思えません。さらには宗教や文化は全く経済とは独立して発展してきているものもあるのは容易に想像できます。

マルクス経済学(資本論)への批判

資本家は、資本を蓄積して労働者を搾取しているという一面に着目して資本主義を批判していますが、資本家は市場を調査してニーズを満たす製品を生み出したり、世の中をより便利にするイノベーションを生み出したりする、社会的分業の一端を担っています。

マルクスの主張はそれら資本家が持っている役割を過小評価していると批判されています。

まとめ

マルクス主義に関して、エッセンスだけを抽出して解説しました。非常に曖昧で漠然とした概念だとも思われてしまうマルクス主義ですが、実は唯物史観や資本論などを背景に論理的にしっかりと展開されています。

マルクス主義は政治的な思惑によって、悪い方に解釈されて使われてきた背景がありますが、主張している論理は、資本主義の問題点を写す鏡のようにも思えます。マルクス主義は、壮大な実験によって、資本主義の問題の解決にはならないことが証明されましたが、ここで展開される主張が全く無駄だとは思えません。

資本主義の限界などと、近年になって、多く囁かれ始めていますが、こういう時こそマルクス主義を見返すことによって、何かヒントになる考えが見つかるかもしれせん。

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