近代経済学は、大きく分けてミクロ経済学とマクロ経済学に分かれます。
多くの人が高校や大学などで「経済学」を学び、複雑だと感じたことがあるのではないでしょうか。しかし、基本的な考え方は非常にシンプルで、全体像をつかめば理解しやすい学問です。
この記事では、ミクロ経済学とマクロ経済学の基礎的な考え方を、5〜10分ほどで理解できるようにまとめます。より詳しく学びたい方向けの記事も紹介しますので、ステップアップにも役立つはずです。
なお、近代経済学(ミクロ経済学・マクロ経済学)は、経済学全体の流れの中の一部です。より大きな系譜を知りたい方は、下記のリンクで解説しています。
ミクロ経済学とマクロ経済学の違い
ミクロ経済学は、「消費者」と「生産者」の最適な「消費行動」と「生産行動」を考える学問です。
簡単に言うと、消費者は「何をどれくらい買うのか」、また生産者は「何をどれくらい生産するのがよいのか」を分析します。

一方、マクロ経済学は、経済活動をより大きな視点から捉えて研究する学問です。たとえば、財市場や貨幣市場、労働市場といった市場全体の動きや、景気、雇用、物価、GDPなどを分析します。よく耳にする「GDP(国内総生産)」もマクロ経済学の用語です。
下記のリンクでGDPについて詳しく解説しています。この考え方は、マクロ経済学の発展とともに整理されてきました。
- ミクロ経済学
「消費者」「生産者」のミクロな(小さな)個別行動に着目して分析する - マクロ経済学
「財市場」「労働市場」「GDP」など、マクロな(大きな)視点から分析する
ミクロ経済学とは?
ミクロ経済学をより正確に言うと、「消費者・生産者の希少な資源の最適な配分」を研究する学問です。
少し難しい表現ですが、要するに、私たち個人はお金をどのように使うのが最適なのか、また企業は製品をどの程度作り、どの程度供給するのが最適なのかを研究する学問です。
つまり、「需要曲線と供給曲線が交わる点が最適価格である」というアダム・スミスの「見えざる手」を土台に、その仕組みをより詳細に分析し、理論化していこうとする学問だと言えます。

ミクロ経済学についてより詳しく知りたい方は、下記のリンクで解説しています。
ミクロ経済学の成り立ち

ミクロ経済学は、古典派経済学を土台に発展しました。古典派経済学は、アダム・スミスの考え方を基礎とする学問体系です。
アダム・スミスの『国富論』に出てくる「見えざる手」は非常に有名です。多くの人が「神の見えざる手」と言いますが、スミス自身は正確には「見えざる手」と表現しています。
つまり、市場では価格が自然に調整されるという仕組みを、論理的・体系的に説明しようとしたものが、後のミクロ経済学につながっていったわけです。
マクロ経済学とは?
マクロ経済学は、より大きな視点で市場を分析する学問だと説明しましたが、マクロ経済学が対象とする代表的な市場は、大きく3つあります。
1つが「財市場」、2つ目が「貨幣市場」、3つ目が「労働市場」です。
- 財市場:主にGDPを対象とする。生産、消費、分配がどのように行われるのかを考える
- 貨幣市場:貨幣や債券の流通に関して考える
- 労働市場:労働の需給について考える
これら3つの市場が、どのような循環の中で成り立っているのかを分析していくのがマクロ経済学です。
マクロ経済学についてより詳しく知りたい方は、下記のリンクで解説しています。
マクロ経済学の成り立ち

マクロ経済学は、「ケインズ経済学」を基礎として成立しました。
ケインズは、それまでの経済学の常識を覆し、政府が積極的に市場に介入することで景気をコントロールできると提唱しました。
それ以前の経済学では、政府は市場にできるだけ介入せず、「自由放任」にしておけば、「見えざる手」によって市場は調整されるはずだと考えられていました。
しかしケインズは、不景気のときには政府が積極的に介入すべきだと考えました。つまり、不景気のときには国が借金をして公共事業に支出し、雇用を生み出します。雇用が生まれれば国民の所得が増え、消費が増え、税収も増えます。その増えた税収によって、後から借金を返せばよいという考え方です。

エジプトのピラミッドは、国王の墓ではなく景気対策だったという説が近年では有力になってきています。ピラミッドを公共事業として行えば、国民の仕事が増え、消費が促され、税収も増えます。ケインズは、それと同じように、不景気のときには国が借金をしてでも公共事業を増やし、国民の所得を増やすべきだと考えた革命的な人物でした。
まとめ
ミクロ経済学とマクロ経済学の違いについて説明しました。
多くの教科書では、マクロとミクロがなぜ分かれているのかまで丁寧に説明されないことが多いため、「なぜ別の学問になっているのか」と疑問に感じた方も多いかと思います。
この2つの学問は、成立した時期も違えば、登場した背景も異なります。
ミクロ経済学は、アダム・スミス以来の市場メカニズムの研究を土台として発展してきました。一方でマクロ経済学は、大恐慌のような大きな不況をどう乗り越えるかという問題意識の中で、有効性が検証され、体系化されてきました。
経済学は、時代とともに変化しながら発展してきた学問だと理解していただけたかと思います。下記のリンクでは、経済学の変遷をより詳しく解説しています。
近年では「行動経済学」なども活発に研究されていますが、今後もまた新しい理論が生まれるかもしれません。


