5分でわかるジニ係数 – ランキングや各国の推移をわかりやすく解説

ジニ係数は、格差を表す指標として多くの機関が利用しています。OECD(経済協力開発機構)や内閣府も格差や貧困の問題を図る包括的な指標として統計データを公表しています。

この記事では、このジニ係数はどのように算出され、どのような意味があるのかを解説するとともに、世界各国のジニ係数のランキングや推移を解説していきます。

近頃、日本においても格差が広がりつつあると言われていますが、データから分かる実情はどうなのでしょうか?

ジニ係数とは?

ジニ係数とは、ローレンツ曲線均等分配線で囲まれた領域の面積と、均等分配線の面積の比として表されます。

「なんのこっちゃ?」という感じですが、より詳しく見ていきます。

まずは、ローレンツ曲線と均等分配線について解説していきます。

ローレンツ曲線とは?

まず「ローレンツ曲線」ですが、国民の総所得を1.0とした時に、低い人から順番に並べた際に現れる曲線です。

すべての国が、上の画像のように徐々に上がっていくような曲線を描きます。それもそうですよね。周りを見ても給与は皆バラバラです。アルバイトもいれば経営者も、お医者さんもいます。

そういった所得の差を並べていくと必ず、上記のような下にへこんだ曲線となります。

均等分配線とは?

「均等分配線」は、45°の直線を描くローレンツ曲線のことです。誰しもが同一の賃金を得ているような場合を表しています。

例えば、国民の所得の合計額が仮に1000万円で国民が10人だった場合、1000万円/10人で1人100万円の所得を均等に得ているような状況です。

現実には、そのような状況はあり得ませんが、仮に均等な状況を想定して、格差の度合いを図ります。

ジニ係数の計算方法

「ローレンツ曲線」と「均等分配線」についてまとめると下記の通りです。

  • ローレンツ曲線
    国民の所得の合計額を1.0とした時に、所得の低い順に並べた際に表現される曲線。
  • 均等分配線
    すべての国民の所得が均等の場合のローレンツ曲線。45°の直線となる。

ジニ係数は下記の式で表されます。

(均等分配線が囲む面積(0.5)- ローレンツ曲線が囲む面積) / 均等分配線が囲む面積(0.5)

つまり、何を表しているのかというと、所得が均等に分配されているほど0(ゼロ)に近くなり、所得の格差が大きいほど1.0に近づきます。

ちなみに社会騒乱多発ラインは0.4以上と言われています。格差が広がりすぎると、デモやストライキ、そしてテロなどが起こりやすくなります。

最近でもフランスで格差の広がりから大規模なデモがありました。フランスもジニ係数が非常に高い国の一つなんです。

世界各国のジニ係数のランキング

世界のジニ係数のランキングは、OECDが統計データを公表しています。OECDの最新のデータによるとジニ係数のランキングは下記の通りです。

順位ジニ係数
1位South Africa0.62
2位Costa Rica0.48
3位Mexico0.458
4位Chile0.454
5位Turkey0.404
6位United States0.391
7位Lithuania0.378
8位Korea0.355
9位United Kingdom0.351
10位New Zealand0.349
11位Latvia0.346
12位Israel0.344
13位Spain0.341
14位Japan0.339
15位Greece0.333
16位Portugal0.331
17位Australia0.33
18位Italy0.328
19位Estonia0.314
20位Canada0.307
21位Luxembourg0.304
22位Ireland0.297
23位Switzerland0.296
24位Germany0.294
25位France0.291
26位Hungary0.288
27位Netherlands0.285
28位Austria0.284
29位Poland0.284
30位Sweden0.282
31位Belgium0.266
32位Finland0.266
33位Denmark0.263
34位Norway0.262
35位Iceland0.255
36位Czech Republic0.253
37位Slovenia0.244
38位Slovak Republic0.241

OECD Income Inequality Data

上記ランキングの上位国の特徴は下記の通りです。

  • アングロサクソン国、もしくはその元統治国
  • 比較的早期に経済自由化に踏み切った国
アングロサクソン国とは?
アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの5つの国

アングロサクソン国については、トマピケティのベストセラー「21世紀の資本」でも格差が激しい国として解説されていました。

ピケティについては下記のリンクで詳しく解説しています。

【入門】10分でわかるピケティの21世紀の資本-わかりやすくグラフで要約-

アングロサクソン系の資本主義国は特に自由主義的なイデオロギーが強く、市場に任せておけばうまくいくという考えが根強いです。そのため弱肉強食の社会となり、格差が広がりやすいと考えられます。

また、アングロサクソン系の統治国も、格差が激しい傾向にあります。イギリスの統治国だった南アフリカは、世界で最も格差が激しい国となっています。

また、南アメリカのとりわけ自由経済を早期に取り入れたチリなどは、格差が激しい傾向にあります。関税の自由化などによって、グローバルな競争を生んだためと考えられます。

下記のリンクにてグローバル化と格差の拡大について内閣府の見解が書かれています。

参考 第1章 グローバル化と経済成長・雇用(第2節)内閣府

世界各国のジニ係数の推移

では、これらのジニ係数は世界でどのように推移しているのでしょうか?

下記が内閣府が公表しているジニ係数の各国の推移です。

所得格差は経済成長を損なうか?OECD特集:格差と成長

ほぼすべての国で格差が拡大傾向にあることが見て取れます。

日本や各国のジニ係数の推移

日本のジニ係数の推移は下記の画像の通りです。

An Overview of Growing Income Inequalities in OECD Countries:Main Findings

日本は、アングロサクソン諸国に比べれば格差の拡大は緩やかではありますが、それでもなお格差が拡大していることがわかります。

最近では、上級国民など、どうしても格差の話題が炎上しやすいこともうなずけます。それだけ、国民のフラストレーションが溜まっているということです。あまり良くない傾向です。

ジニ係数の上昇が経済成長に与える影響

ジニ係数は、格差を表す指標であり、先進国では上昇傾向にあることが分かりました。

しかし、格差を容認する人の多くは、格差があることが問題ではなく、むしろ向上心を生むエネルギーにもなるという批判をします。全く競争のない、社会主義を引き合いに出して、格差を容認しようとします。

しかしこれは、極論としか言わざるをえません。実際にOECDが発表したデータによると行き過ぎた格差は経済成長に悪影響であるということが分かってきました。

所得格差は経済成長を損なうか?OECD特集:格差と成長

オレンジの部分が不平等が経済成長へ与えるインパクトです。多くの国では、貧困などの機会不均衡が経済へ悪影響を与えています。

まとめ

ジニ係数に関して、可能な限り噛み砕いて解説しました。

メディアや新聞では、過激な表現で格差拡大を揶揄する表現も見受けられますが、実データにあたることも大切です。

日本は、格差は拡大していることは確かですが、他の国と比較すればその拡大は緩やかで、再分配されていることがわかります。

その一方で、格差は向上心や競争意欲を高めるために必要だとする格差を肯定する意見についても、過度な拡大は経済を阻害することもわかってきました。格差を適切にコントロールして、国民の不満を吸収しながら、経済成長を果たすことが大切だと考えます。極論の格差をなくそうというのは、それはもはや社会主義であり行き過ぎた反論です。

下記リンクでマルクスの資本論について解説しています。

10分でわかるマルクスの「資本論」入門。初心者にも分かりやすく要約・解説します。

我々は適切な再分配政策によって経済を活性化し、全体最適を目指す必要性が求められています。

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