10分でわかる議会制民主主義 – わかりやすく利点や問題点を解説

この記事では「議会制民主主義」について10分で分かりやすく解説します。

第二次大戦以降、ほとんどの国が採用している議会制民主主義ですが、そのメリットやデメリット、問題点について詳しく見ていきます。

議会制民主主義とは何か?

議会制民主主義とは、国民から選ばれた代表者が「議会」で話し合い政治を行う制度です。

我が国日本も選挙によって代表を選び、その代表が国会で議論して物事を決めていますよね。まさにこの方法が議会制民主主義です。代表者が政治を行うので「代議制」とも呼びます。

より広義の意味として「間接民主制」という言葉もあります。これは、議会で議論するのに限らず、代表者によって政治が行われる方法です。ほぼ同じ意味として使われることもあるくらい近い言葉です。

間接民主制の対になる言葉として「直接民主制」があります。これは代表者ではなく国民全員が政治に参加して物事を決めるやり方です。

しかし、この直接民主制ですが、古代ギリシャで採用され失敗に終わっています。全ての人を政治に参加させると、もはや言いたい放題になり、くじ引きで政策を決めていたらしいです。そのためか、直接民主制は「衆愚政治(愚かな群衆による政治)」と揶揄されて、17世紀の市民革命までは民主主義自体が日の目を見ることはありませんでした。詳しくは下記のリンクで解説しています。

10分で分かる民主主義 – わかりやすく歴史や日本でいつから始まったのかを解説

間接民主主義は政治家の汚職などがあり、直接我々も政治に参加させろと言いたいところですが、歴史を振り返ると失敗した過去があります。やはり、代表者による政治が賢いやり方だと言えるわけですね。

議院内閣制と大統領制との関係は?

日本は議院内閣制、アメリカは大統領制で政治を行なっています。これら用語と議会制民主主義の関係は?と思われるでしょう。

議院内閣制や大統領制もすべて、議会制民主主義の1つです。議会で話し合って物事を決めるという点においては、どちらの制度も同じです。

ただ議会で話し合うことは共通でも、その議会をどのようなプロセスで決めるのかという点で異なっています。

議院内閣制と大統領制については下記リンクで詳しく解説しています。

5分で分かる議院内閣制 – 分かりやすく解説!大統領制との違いも10分でわかる大統領制 – メリットやデメリットをわかりやすく解説

議会制民主主義の利点・メリット

議会制民主主義の利点・メリットは、大きく下記の2つです。

  1. 話し合いが効率的である
  2. 話し合いの質が高くなる

利点1.  話し合いが効率的である

議会制民主主義は、話し合いの効率が非常に良いです。全員参加の直接民主制の場合、まず全員出席させることが困難です。小さな村単位であれば問題ありませんが、国家が大きくなればなるほど問題となります。また、一人ひとりの意見を聞いて相反する意見をまとめて合意に達することが難しいです。

例えば、3人で旅行にいくなら、みんなで話し合って楽しい旅行ができそうですが、50人で旅行に行く場合、みんなが満足するプランを考えるのは非常に難しいですよね。その結果、古代ギリシャでは「もうくじ引きだ!」となった事が安易に想像できます。

利点2. 話し合いの質が高くなる

議会制民主主義だと、複雑な問題に対処できるようになります。議論を進めるのは少なくとも政治的な知識を持つ専門家たちですから、より良い結論を導く事ができます。国の予算を決めるのに、農家一筋の農家が議論に加わったって意味がないですよね。それどころか悪い方向に結論が導かれそうです。やはり代表者に絞る方が、議論が洗練化して国民に益のある結論を導けます。

議会制民主主義の問題点・デメリット

万能に見える議会制民主主義ですが、大きく2つの問題点・デメリットがあります。下記の2点です。

  1. 国民の意見を正しく反映できない
  2. 選挙制度によって民意が大きく営業する

1. 国民の意見を正しく反映できない

議会制民主主義は代表者を選ぶので、国民の意見を正しく反映できないかもしれません。なぜなら選ばれた代表者が、公約通りの政治活動をする保証もありませんし、みんなの代表とはいえ、投票者の全ての意向をどれだけ取り入れるかは政治家次第です。

例えば、ある政治家の公約に賛成したあなたは、その人に投票し当選したとしても、その政治家が公約通りに動くかはわかりませんし、労働者の味方だ!と声高に叫んでいても、どこまで味方するかの線引きは政治家次第です。

2. 選挙制度によって民意が大きく営業する

議会制民主主義は、選挙制度によって大きな影響を受けます。小選挙区にするのか、比例区にするのか、アメリカで言えば州ごとに投票するのか、などといった投票の仕方により、代表者の選出が影響を受けます。

よく言われる「死票」問題もそうです。例えばAさんとBさんがある選挙区で接戦で、僅差でAさんが勝利したとしましょう。そうなるとBさんは大量に票を獲得していたとしても代表者にはなれません。もしかしたら、他の選挙区で勝利したCさんよりもBさんは票を獲得してるかもしれないのにです。この死票問題をなるべく解決するべくして様々なやり方が模索されています。

まとめ

議会制民主主義(代議制)についてまとめました。

古代ギリシャでは衆愚政治と揶揄された民主主義的な政治手法ですが、長い長い時間をかけて洗練され今の形となっています。そこには多くの苦しみが存在しています。下記リンクで民主主義の発展の歴史を詳しく解説しています。

10分で分かる民主主義 – わかりやすく歴史や日本でいつから始まったのかを解説

日本では、議院内閣制によって政治が行われていますが、その代表者を選ぶのは他でもないあなたです。選挙に参加して間接的にも政治に参加する事が、民主主義を機能させる唯一の方法だと心にとどめておきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください