10分でわかるアリストテレスの思想 – 形而上学、自然学をわかりやすく解説

アリストテレスは、プラトンの弟子で、形而上学や自然学などの独自の思想を提唱しました。

この記事では、これら思想をわかりやすく解説します。プラトンから受け継がれた思想を、どのように発展させていったのか理解することができます。

なお、アリストテレスを理解するには、最低限プラトンを理解しておく必要があります。下記のリンクで詳しく解説しています。

10分でわかるプラトンの思想の本質 – イデア論、形相、質量をわかりやすく

下記の記事で、哲学史をわかりやすく一気に解説していますので、ざっくり哲学を理解したい方におすすめです。

哲学とは何か? 重要な哲学者の思想を歴史に沿ってわかりやすく解説

アリストテレスとは?

アリストテレスは紀元前384年に生まれました。プラトンの弟子です。プラトンはソクラテスの弟子なので、下図のような関係性です。

師匠であるプラトン、ソクラテスの2人と、アリストテレスが大き異なる点は、「守るべき祖国」や「改革すべき祖国」を持っていなかった点です。

ソクラテスやプラトンはアテナイという祖国を持ち、政治の腐敗や戦争の敗北などを間近に見てきたため、それらを、なんとか変えようと思っていました。一方で、アリストテレスはこれといった祖国を持っていません。

彼は、マケドニア王国支配下のスタゲイラに生まれ、父がマケドニア宮廷の医者をしており裕福な生活をしていました。17歳ごろにアテナイのプラトンのもとで学んだ後は、マケドニアに戻り、アレキサンダー王の家庭教師をしていました。

アテナイを含むポリス連合軍とマケドニアの戦争で、マケドニア勝利後は、家庭教師をしていたアレキサンダー王から莫大な資金援助をされています。そのお金で、アテナイに自分の学園「リュケイオン」を作っています。プラトンの学園アカデメイアと、しのぎを削ることとなります。

わかりやすくいうと、都市の誇りやアイデンティティのようなものを持っていたソクラテスやアリストテレスとは異なり、ソクラテスは田舎から出てきて莫大にお金を手に入れてしまった人物だとイメージしてもらえれば、理解しやすいかと思います。

アリストテレスの思想

祖国がないということは、アリストテレスの思想に色濃く現れています。

アリストテレスの思想は、ソクラテスやプラトンのように古い価値観、つまり古代ギリシャ的価値観を否定していません。ソクラテスやプラトンは、古い価値観に大なたを振るって、新たな哲学を打ち立てた人物なのですが、アリストテレスははそこに待ったをかけます。

彼は、プラトンの行き過ぎた考えを、巻き戻して、古代ギリシャ的な価値観と折衷しようとしました。

プラトンの価値観と古代ギリシャ的価値観

では、古代ギリシャ的な価値観と、それを壊して新たに打ち立てたプラトンの価値観とは何でしょうか?

ソクラテスを知る上でこの2つの価値観を理解する必要があります。

まず、古代ギリシャ的価値観とは、存在とは「なり出でてある」という考え方です。世の中にあるあらゆるものは、生まれ、変化し、消滅する、生き生きとした存在として捉えます。日本の八百万の神に近い考え方です。

一方で、プラトンは価値観は、存在とは「作られてある」という考え方です。あらゆる存在は、作られるための材料にすぎず、作られるための静的な死せるものと考えます。

ちなみに、哲学とは「存在とは何か?」を考える学問です。

つまり存在とは何か?という問いに対する、古代ギリシャ的な答えと、プラトンの答えのぶつかりあいを、アリストテレスはミックスして両方成立させようとしたというわけです。

形而上学とは何か?

そこで、登場するが「形而上学」です。非常に難しい言葉ですが、もともとは「自然学の次の学問」という意味でした。

自然学とは、例えば算術とか物理学とか、その辺りのことを学ぶのですが、それらを学んだ後にに学びましょう、といういわば学習の順序を表しているに過ぎませんでした。

これが紆余曲折を経て、次のが「超」と訳され「超自然学」となり、まだこのままなら良かったのですが、漢文の「形而上」という言葉が割り当てられ、さらにややこしくなりました。翻訳者は罪深いと言わざるを得ません。

つまり、形而上学とは、様々な自然現象を学んだのちに、プラトンのイデアのようなより高次の物を学びましょうという意味に過ぎなかったのです。

メモ:アリストテレスの第一哲学とは?

ちなみに、「形而上学」は、もともと「第一哲学」と呼ばれていました。

講義ノートに編纂する際に、自然学の後ろに回すと同時に「第一哲学」は「形而上学」という名前を変えられました。つまり、形而上学と第一哲学は同じ学問です。

可能態と現実態とは?

アリストテレスはプラトンのある考えに対して無理があると批判します。

それは「形相(エイドス)」と「質量(ヒュレー)」の2つで世の中の存在を整理しようとすることに対してです。

「形相(エイドス)」と「質量(ヒュレー)」については下記の記事で解説しています。ここからはプラトンを理解している必要があります。

10分でわかるプラトンの思想の本質 – イデア論、形相、質量をわかりやすく

この2つで存在を整理すると、ある問題が起こるとアリストテレスは説明します。机や椅子などの人工物に対してなら説明がつくのですが、例えば植物や動物などの自然物に適用するのは無理があります。

そこでアリストテレスは、「形相(エイドス)」と「質量(ヒュレー)」ではなく、「可能態(ディナミス)」と「現実態(エネルゲイア)」で整理することができないかと考えました。

つまり、「質量(ヒュレー)」は、なんらかの「形相(エイドス)」になる可能性のあるもの、つまり「可能態」であると考えます。そして、その可能性が現実化したものを「現実態」と考えます。

例えば、木の種は「可能態」という存在であり、そしてそれが気になれば「現実態」となります。そして木は、机になるための「可能態」でもあるわけです。

こうして可能態→現実態→可能態という連鎖がどこまでも続くダイナミックな動きによって存在を整理しました。

つまり、アリストテレスは、プラトンの行き過ぎた「作られてある」思想を巻き戻して、古代ギリシャ的な、生まれ、変化し、そして消滅する「なり出でてある」存在論を取り込んだというわけです。

純粋形相とは? 運動の最終目的地点

ここまで読むと、アリストテレスは、古代ギリシャ的な思想を取り戻したかのように見えますが、実はそうではありません。

結局、プラトンの言う「イデア」のような、超自然的思考様式を捨てることができません。

先ほど、可能態→現実態→可能態→へと連鎖すると説明しましたが、この運動の最終目的地があるはずだと考えました。

この運動を目的論的運動と呼ぶのですが、あらゆる可能性を全て自分の元に引き寄せる存在があるはずだと考えました。これをアリストテレスは「純粋形相」と呼んでいます。つまり、プラトンのイデアのようなものです。

アリストテレスは、プラトンの超自然的思考様式を捨てたように見えましたが、結局のところ純粋形相という形で、その特殊な思考様式は残されることとなりました。

自然学とは?

アリストテレスは自然学という研究所も残しています。先程説明したように、自然学は物理学や生物学ら天文学など我々が普段学ぶような個別分野の学問です。

そして日本では形而上学と呼んでいるものは、この自然学の次に学ぶべきものとして「自然学の次の書」という意味でした。

これを理解するとアリストテレスは、まずこの世に存在する自然についてまず「自然学」で学び、それら全てを包括する「存在」に対しての理論として「形而上学」を学ばせたかったという意図が読み取れます。

形而上学は非常に難しい言葉ですが、つまり自然の個別の事象を包括する理論を展開することが趣旨であり、つまり、それは「存在とは何か?」を問うことと同じです。形而上学はもともと第一哲学をまとめなおしたものという事も納得いただけると思います。

哲学を知るのにおすすめの本

木田 元 (著)

私が哲学を学ぶ上でおすすめしたい本は「反哲学入門」です。

様々な哲学本を過去読んできましたが、ここまで哲学史を体系的にまとめている本はありません。入門書としてこの一冊を読んでおけば、専門的な本を読んだとしても、かなり理解しやすくなると思います。哲学とは一体何か?というところにフォーカスして様々な哲学者を解説しており、基礎的な理解をする助けになります。

まとめ

アリストテレスの思想についてまとめました。繰り返しますがこの記事を理解するには、ソクラテスやプラトンを理解しておく必要があります。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスと古代ギリシャで変遷したこの哲学は、今後続く様々な思想の基礎となっています。是非理解しておくことをお勧めします。下記の記事で解説しています。

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