リップル(XRP)は本質的には無価値なのか? ユーティリティから価値を考える

リップル(XRP)は国際送金や銀行間送金を、スピーディーに行うことを可能にするための「ブリッジ通貨」です。

ブリッジ通貨とは、例えば、日本円と米ドルを両替したい際に、日本円→XRP→米ドルというように、仲介することを目的とする通貨です。

XRPは、非常に将来性が高いと言われていますが、果たして本当なのでしょうか? ユーティリティートークンの本質的価値から将来性を考えます。

XRPはユーティリティトークンか?

まずXRPはユーティリティートークンであることを前提として考えます。

リップル社はXRPは、有価証券(セキュリティトークン)ではなく、ユーティリティトークンであると度々主張しています。

  • ユーティリティートークン
    ユーティリティトークンとは、ユーザーにユーティリティ(有用性)を提供するトークン。
    例えば、電車の切符や定期券、またはNetflixの会員証(実際には電子的なものですが)もユーティリティトークンです。
  • セキュリティートークン
    セキュリティトークンとは、株式や有価証券に該当するもの。
    会社の一部を保有する権利証のため、会社の業績に連動して価格が形成される。

この記事では、あくまでXRPがリップル社が主張するようにXRPはユーティリティトークンだとして価値を考えていきます。

つまり、XRPはそこで提供される「ユーティリティ(有用性)」こそが価値の源泉であるということです。

ちなみに「XRPはユーティリティトークンである」という主張は、あくまでリップル社が主張しているだけです。現実には、XRPが証券かどうか?を巡って裁判で争われています。

詳しくは下記のリンクで解説しています。

リップル(XRP)は有価証券なのか? SECの見解と今後の展開

XRPのユーティリティはブリッジ機能である

XRPのユーティリティは、現在示されているのは「ブリッジ機能」です。これは、国際送金や銀行間送金において、XRPを経由することによって、高速に処理する仕組みです。

例えば日本からアメリカに送金を行う場合、一度JPYをXRPに変換して送金し、XRPをUSDに戻すことによって、高速化します。今までの銀行では、コルレス銀行と呼ばれる中間の銀行で両替する必要がありましたが、XRPを介すことで、その無駄を省けるわけです。

では、XRPの価格を予想する上では、この「ブリッジ機能」のユーティリティの本質的価値はいくらなのか?を考える必要があるわけです。

ユーティリティトークンの定量的な価値算出方法

ユーティリティトークンの価値算出方法として、一般的な方法は「貨幣数量説」です。これは、海外の投資家含めて議論される中で一般的になりつつある方法です。

上記のリンクにて、ユーティリティトークンの価値算出方法について詳しく記載していますが、簡単にいうと下記の通りの計算式となります。

価値産出の計算式
M = PQ / V
・M = トークンの市場規模
・P = サービス価格
・Q = サービス利用回数
・V = 流通速度

つまり、サービス価格と、サービス利用回数を流通速度で割ることで、トークン市場規模を算出できます。

P×Qについては、100円のサービスを10回利用すれば、1000円なので単純です。しかし、トークン価値はこれだけでは決まりません。

Vは、あるトークンが別な人に渡る期間です。この期間が早ければ、使い回せるので、トークンは需要は少なく価格は上がりません。逆に、みんなが長期間保持し続けたいと思えば、価値が逆に上がります。

貨幣数量説をXRPに当てはめる

貨幣数量説にリップル(XRP)を当てはめると下記の通りになります。

  • P: サービス価格
    サービス価格は、つまり、送金サービスの利用料です。銀行間送金を行う際にXRPを利用します。
  • Q: サービス利用回数
    どれだけ送金サービスが、利用されるかです。多くの送金が行われれば、XRPが消費されるので価格にとってポジティブです。
  • V: 流通速度
    XRPがどの程度のスピードで銀行間を循環するかです。循環スピードが早ければ、XRPを少量保有しておけば良いですが、循環スピードが遅ければ大量に保有する必要があります。もちろん循環スピードが遅い方がXRPの価格形成にはポジティブです。

貨幣数量説から分かること

つまり、XRPが時価総額を伸ばし続けるためには、P:サービス利用価格を高く設定し、Q:利用回数を増やし、さらにはV:銀行がXRPを大量に保管することが大切です。

これら全ては、リップル社がどれだけ提携銀行を増やせるかにかかっており、さらに言えば、増やせば増やすほど価値が高まります。一般的には「ネットワーク外部性」と呼ばれ、多くの提携者を増やすほど価値が高まるというわけです。

ユンティリティートークンを評価する定性的な手法

定量的な方法から価値を算出することは、これからサービスを拡充するべく企業には、なかなか適用が難しいです。

将来の提携先や、サービス価格など、外部環境によっては大きく変わるため、定量的な評価以外に、「定性的に」そのプロジェクトを見る必要があります。

定性的な評価手法として、一般的な手法は下記の通りです。

  1. Team:チーム
    優れたチームが運営しているか。経営者、役員の過去の経歴などが、進行中の製品と適合しているか。
  2.  Product:製品
    製品が進行しているか。作ろうとしている製品が具体的かどうか。
  3. Community:コミュニティ
    トークンを支えるコミュニティが強いか。例えば、ビットコインであれば開発者やマイナーなど、そのトークンを支える人々がアクティブかどうか。
  4. Token Mechanics:トークンの仕組み
    トークンの仕組みが優れているか。どのトークンを保持していることでのユーティリティ(有用性)などが高いか。
  5. Merket Selection & Timing & Suitability:市場選択、タイミングと適合性
    市場の選択が適切か?ブロックチェーンや分散型台帳の仕組みとの適合性が高いか。

これらの評価軸によってリップルが作るプロダクトを判断する必要があります。

全体の60%をリップル社が保有している

ここで注意しなくてはいけないのは、XRの全体の60%以上をリップル社が保有しているということです。このXRPは、流動性のために用いられるため、サービスを利用する提携銀行に対して、無償もしくは、かなり安い価格で配布されると考えられます。

なぜなら、価格変動が激しく、実験的なサービスに対して企業は慎重になるのは当然であり、リップル社としても利用者を増やしたいとなれば、無料で配布することは理にかなっています。ひいては、それが、リップルネットワークの価値を高めることになるので、悲観することではありません。

しかし、もしあなたが大手銀行がXRPを市場で調達することによって、大きな価格上昇が期待できると思っているのであれば、それは残念ながら望まない方が良いでしょう。

もしXRPを市場で調達する銀行があるとすれば、リップルの価値が浸透し、市場で調達しても利用したいという銀行が出たときです。それはまだまだ先の話のことになるでしょうし、もしかしたら無いかもしれません。

XRPの将来性については下記のリンクで詳しく解説しています。

リップル(XRP)が将来的にもう上がらない8つの理由【2020】

ユーティリティは価格が安定して初めて発揮される

もう1つ考えなくてはいけない問題として、XRPの価格の不安定さは、リップルネットワークの価値を毀損するということです。

XRPを利用している銀行が、もしXRPの価値がコロコロ変わることで、送金上限額が変わるなんてことがあれば利用したいと思うでしょうか?

つまり、我々個人投資家が望んでいる価格の上昇や変動は、銀行にとっては期待していないことなのです。そうなった場合、リップル社は、価格を安定させる方向に供給量を調整せざるを得ません。

まとめ

リップル(XRP)は、無価値なのかという問いに対して、可能な限り中立的な意見を記載しました。

ユーティリティトークンの価値は、かなり算出が難しく、それ故に議論が多くされている部分です。今回紹介した方法も、もしかすると異なるやり方が提案されるかもしれません。

リップルのプロダクトは非常に将来性がありますし、投資対象としてもまだまだ魅力があると思っています。貨幣数量説における定量評価でも、定性的な評価でも、評価は高いです。今後どれだけリップルネットワークの価値を高められるのか注視しながら投資することをお勧めします。

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