10分でわかる大統領制 – メリットやデメリットをわかりやすく解説

この記事では、大統領制を分かりやすく解説します。また、大統領制のメリットやデメリットについても解説します。

大統領制は、アメリカを筆頭に多くの国が採用している政治制度ですが、その仕組みを明確に答えれる人は少ないです。この記事を読めば大統領制をはっきりと理解する事ができます。

より広い概念として「議会制民主主義」が存在します。議会制民主主義を理解すると、大統領制についてより深く理解できます。下記リンクで解説しています。

10分でわかる議会制民主主義 – わかりやすく利点や問題点を解説

大統領制とは何か?

大統領制とは「行政権」を行使できる大統領を、国民が直接選ぶ政治制度のことです。

行政権とは、政治を行う権利のことです。例えば、国の予算を何にどれだけ使うかを決定したり、他の国と条約を結んだりなどです。

ただし、行政の定義は非常に難しく、一般的には司法と立法を除いた国の業務と定義されています。

三権分立という考え方

大統領は「行政権」を行使できます。逆を言うと、その他の権利は行使できません。

三権分立という言葉を聞いた事がないでしょうか?国の権力を分散することで、国家の暴走を防ぎ、適切な政治運営ができるという考え方です。

大統領は上の図の三権分立における「行政権」のみ行使できます。大統領は法律を作ることも、罪人を裁くこともできません。つまり、大統領であっても法律には支配されています。

大統領制と議院内閣制の違い

大統領制のメリットやデメリットを理解するには、議院内閣制についても知る必要があります。両者を比較することで、それぞれの特徴が理解できるからです。

まず、大統領制ですが、「大統領選」という選挙によって大統領を選びます。一方で、国会議員は「連邦議会選挙」という別の選挙によって選ばれます。

次は、議院内閣制ですが、大統領制と異なり、行政を行う内閣総理大臣は国会が選出します。つまり、選挙で選ばれた国会議員の中から総理大臣が選ばれます。

さらに言うと、内閣総理大臣は、最大派閥の政党(与党)の代表者が選ばれます。大統領は国民が直接選挙によって選びますが、総理大臣は選挙で選ばれた国会議員の中から選ばれるという違いがあります。 

これでは三権分立の原則に則ってないのでは?と思う方もいるでしょう。実は、ある権利によって、国会と行政が相互に影響を与え、バランスを保っています。

それが「内閣不信任」と「解散権」です。もし、総理大臣のやる事が許せないとなった場合、国会は内閣不信任を出して、総理を再度選び直すよう働きかける事ができます。一方で内閣も、「そんなに我々のやる事が気に入らないなら国民に聞いてみよう。選挙やり直し!」とできます。これを解散権と呼んでいます。

国会は、内閣に対して解体を要請できるし、内閣は国会をやり直す権利、つまり、国会議員を選挙で選び直す権利を与えられています。

議院内閣制についてより詳しく知りたい方は、下記のリンクで解説しています。

5分で分かる議院内閣制 – 分かりやすく解説!大統領制との違いも

大統領制と議院内閣制を比較すると下記の通りです。

 大統領制議院内閣制
選出方法国民選挙与党の代表
任期中の解体なしあり
立法と行政の関わりなしあり

大統領制のメリット

大統領制のメリットは大きく3つあります。

  1. 直接選挙により選ばれるので民意を反映しやすい
  2. 任期中に辞任することはないので、腰を据えて政治ができる
  3. 立法と行政が完全に独立しており、権力分立の点で優れている 

1. 直接選挙により選ばれるので民意を反映しやすい

まず、大統領制は、大統領を国民投票によって直接選べます。トランプ大統領が誕生した大統領選が記憶に新しいのではないでしょうか。

様々な講演やメディアに出演することで、民意に応えることで支持を集めます。大統領はまさに民意の代表として行政を行います。

2. 任期中に辞任することはないので、腰を据えて政治ができる

大統領は任期中に辞任させる手段がありません。法律を犯さない限り大統領で居続けれます。つまり、任期を必ず全うできますから腰を据えた政策を行えます。

一方で議院内閣制は、国会の不信任によって解任されることもあり得ます。総理がコロコロ変わり、政治が滞るなんてことは日本で日常茶飯事なのは、このためです。

3. 立法と行政が完全に独立しており、権力分立の点で優れている

立法と行政が完全独立しているので、権力が分散しています。分散することで何が良いのか明確に応えるのは難しいですが、予算の無駄遣いなどの行政の暴走は起きにくいです。

大統領制のデメリット

大統領のデメリットは大きく2つです。

  1. 衆愚政治に陥りやすい
  2. 国会と行政のねじれが起こりやすい 

1. 衆愚政治に陥りやすい

1つ目は衆愚政治になりやすいということです。

衆愚政治とは?
腐敗した民主政治の形態の一つ。古代ギリシアにおいて,大衆の参加する民主主義は結局愚劣で堕落した政治に陥ると考えられた。なお,近代においても貴族主義者やエリート主義者は同じように考えてきた。コトバンク

大統領制は、国民投票によって選ばれますから、国民に耳障りの良いことだけ発言する人が選ばれるかもしれません。

いくら福祉を充実するんだ、教育を無償化するんだ、と庶民の味方のような発言をしていても、その実現性についてまで国民は判断できません。民衆に迎合して人気を集めることを「ポピュリズム」と呼びますが、愚かな政治として批判されています。

議院内閣制は、国会議員によって代表者が選ばれますから、この問題は起きにくいです。

2. 国会と行政のねじれが起こりやすい

国会議員と大統領は別々の選挙によって選ばれるので、「ねじれ」が起こりやすいです。

ねじれとは、大統領の政党と、国会の最大派閥(与党)が異なる政党になることです。

ねじれが起きてしまうと、政治運営は難しくなります。大統領は、新たな政策を進めるために法律を作らなくてはいけません。しかし、そのたびに野党によって否決されては、現行法律の下で政治することしかできなくなります。

そのため、アメリカではロビー活動が非常に活発で、多額の政治献金が動き国会議員を支援しています。

まとめ

大統領制について理解できましたでしょうか。大統領制は非常に力強い制度のように見えますが、実はそれなりにデメリットも存在しています。

日本は議院内閣制を採用していますが、悪いところばかりでなくメリットも存在します。双方のメリット、デメリットを理解すると各国の政治運営がすっきり理解できるはずです。どちらが良いと言う話ではなく、その国の国民にあったものを選ぶべきなのかもしれません。

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