リップル(XRP)が将来的にもう上がらない8つの理由【2020】

XRPは、日本で非常に人気がある仮想通貨です。また熱心な支持者を多く集めており、海外ではリップルアーミーと揶揄されるほどです。

しかし、XRPは熱心な支持者を集める一方で、状況はあまり良くありません。この記事では、XRPがこれ以上、価格の上昇を見込めない理由について解説します。

ちなみにこの記事は、2018年ごろから一貫した主張をしています。2019年、2020年と期間を経るごとに情報は最新にしていますが、根本的に悪い状況は変わっていません。

XRPがこれ以上価格が上がらない8つの理由

XRPは、以下の8つの理由から上がらないと考えます。

  1. XRPはRippleではない
  2. XRPは未来の通貨ではない
  3. XRPは破壊的なテクノロジーではない
  4. XRPは分散化されていない
  5. XRPは有価証券の可能性が拭えない
  6. XRPの採用≠価格上昇ではない
  7. XRPはRipple社や創業者の断続的な売り圧力がある
  8. XRPは投資や寄付などに大量に使われている

もちろん、リップルに投資をするのは自由です。まだ上がる余地があると考える人を批判しているわけでもありません。

❶. XRPはRippleではない

XRPとRipple(リップル)は、明確な違いがあります。

リップルは、アメリカのカリフォルニアに拠点を置く会社です。2012年にOpencoinとして誕生し、2015年にリップルに名前を変えました。500人近くの従業員を抱え、素晴らしいオフィスを構えています。そして銀行に対してブロックチェーンを利用したソフトウエアを開発しています。

一方でXRPは、リップル社が開発するソフトウェアで利用するトークンです。

そしてリップル社は、このXRPのほとんどを保有しています。つまり「事実上の発行体」と言ってよいでしょう。

ここで、よくある批判は「XRPはリップル社が発行していない。オープンソースコミュニティによって発行された。」という主張です。

実際に、リップル社の規制関係の責任者は下記のように発言しています。

「XRPはオープンソースであり、当社によって作成されたものではない。私たちは、かなりの量のXRPを所有しているというだけです。Ripple社とXRPの間には直接的なつながりはありません。」

引用:coin desk「Ripple Put on Defensive at UK Parliament Blockchain Hearing」

ではなぜ、彼らはXRPの全発行数の半数以上をリップル社が握っているのでしょうか?分散化されたオープンな方法でXRPが分配されているのであれば、なぜこのような状況になるのでしょうか。

上の記事では、「XRPは、オープンソースの開発者から受け渡された」と記載がありますが、その時点で分散化されているとは到底思えません。つまり、XRP供給権を独占している意味では、発行体となんら変わりありません。

XRPの大部分はリップル社の管理下にあり、運営資金の捻出のため売却され続けることになります。ビットコインのように電気代というコストを払い、自由競争によってBTCを獲得する仕組みとは全く異なります。

リップル社が開発する製品

リップルは銀行向けに3つの製品を開発していました。その3つの製品は下記の通りです。

  • xCurrent
  • xRapid
  • xVia

xCurrentとは?

xCurrentは、リップル社の主力製品です。国境を超えて迅速にお金を移動させることができます。Ripple NetやRipple Blockchainを利用しますが、XRPは使用しません。

銀行はこのソフトを気に入り、多く採用されていますが、XRPを使用することはなく、あくまで国際送金のコストを削減するためのツールとして採用しています。

xRapidとは?

xRapidは、唯一XRPを使用する製品です。銀行に預けている準備金を減らすのに役立ちます。

しかし、多くの銀行がXRPのボラタリティのリスクから採用していません。

xViaとは?

xViaは、xCurrentと少し似ています。

銀行以外のエンティティ(企業やプロバイダ)と迅速に送金するためのプロダクトです。


しかし、2019年10月以降これら三つのシステム(x系と呼ばれる)はRippleNetというシステムに統合されました。

さらに、xRapidは、ODL(On demand liquidity)に名称変更されています。システム利用者はRippleNetを基盤としてXRPを利用したい場合はODLを選択することが可能になりました。

300以上の提携銀行が採用

リップルが開発する製品はとても魅力的です。300以上の銀行が採用しています。(※2020年1月現在)

しかし、注意しなくてはいけないのは、採用されているのは「RippleNet(旧xCurrentとxVia)」だということです。

つまり、XRPを利用しません。実際に、XRPを使用する「ODL」を採用しているのは、メキシコのCuallixという小さな「銀行以外の金融機関」です。

※2019年に入り英国のEuro Exim銀行が、唯一採用を発表しましたが、この銀行はセントルシアというカリブ海のタックスヘイブンに籍を置く、ものすごく小さく怪しい銀行です。とてもポジティブなニュースとは思えません。

❷. XRPは未来の通貨ではない

XRPは未来の通貨として成立するのでしょうか?

そこにはまずビットコインが立ちはだかります。ビットコインで問題となっていた送金速度やスケーラビリティ問題が解決されるのは時間の問題です。ライトニングネットワークなどオフチェーンスケーリングが動き始めています。

次に立ちはだかるのがSWIFTです。ビットコインは、中央管理者がいない故に競合しませんが、XRPは真に競合します。

SWIFTは国際送金を迅速にするための非上場の企業で、多くの国が大株主になっています。11000以上の機関と協力して、2600人以上の従業員を抱えています。

SWIFTはブロックチェーンを用いた実験を繰り返しており、そして22の銀行で実証実験が成功しています。もしリップルが大きく成功するのであれば、SWIFTを打ち負かす必要があります。

SWIFTの最高責任者のHarry Newmanは下記のように述べています。

今後数年のうちで国際支払いシステムの提供も視野に入っています。これらを検討し採用して使用する建設的な技術を考えています。

Harry Newman

多くの人が銀行送金ビジネスは、成長余力がまだまだあるため、XRPの価値は上がり続けると思っていますが、それはSWIFTと呼ばれる巨大国際機関を打ち負かした場合の話です。

❸. XRPは破壊的テクノロジーではない

リップル社は全然革新的ではありません。

なぜなら、RippleNetのような国際送金アプリを開発をしている会社は他にもあります。R3と呼ばれる会社がそうです。

参考 R3公式r3.com

R3社はCorda(コルダ)と呼ばれる分散型台帳システムを開発しており、多くの金融機関が採用しています。これもRippleNet同様に、国際送金に使えます。

このR3社はリップル社と明確に競合しています。XRP投資家たちから、R3とリップル社は競合しないという声高な意見が散見されますが、全くそんな事はありません。

XRP投資家たちは、R3と競合しない根拠として、R3の決済アプリCorda SettlerでXRPをサポートしているからという反論があります。しかし、この反論は誤りです。

Corda Settlerは決済アプリです。つまり、国際送金とは関係ありません。決済アプリ上でXRPを使えるようになったからといって、国際送金分野で競合しないわけではありません。

北尾氏は下記のコメントをしているように、Corda単体でも国際送金が可能なわけです。つまり競合します。

「R3は別にコルダを国際送金に使ってもいい。ただしコルダ・セトラーはXRPと親和性があり、これを一緒に使うことになる」

引用:COINTELEGRAPH

さらに、リップル社は佳境に立たされています。なんとR3とSWIFTが提携を発表しています。さらに悪いことに、SWIFTのCEOは国際送金へのXRP利用に超懐疑的です。

Ripple社に関してもその基盤となる重要な存在は「XRP」であるため、銀行はその”不安定さ”を理由にXRPに移行することに消極的である

引用:BITTIMES(Ripple社のライバル「SWIFT」がR3と提携|分散型台帳技術の統合を発表)

まとめると下記の通りです。

  • 「R3のCorda」と「リップル社のRippleNet」は競合する
  • SWIFTとR3は協業してCordaの活用を進めている
  • SWIFTのCEOは国際送金へのXRP活用に長期懐疑的
  • XRPが使われるのはCorda Settlerという決済アプリのみ。※Cordaには使われません。 

つまり、R3とリップル社は「国際送金」という領域では依然として競合しており、同じソリューションを提供しています。革新的どころか、R3に遅れを取ってると言わざるを得ません。


さらにはリップルの役割をさらに拡大したStellar(ステラ)も存在します。

リップルの創始者Jed McCalebによって作られました。個人間送金のためのリップルとして、さらに役割を拡大したStellar(ステラ)は明らかにリップルより競合他社という意味で脅威がありません。

リップルよりも成長余力がある可能性があります。IBM、オーストラリア、インドネシア、韓国の支払い機関と提携して裾野を広げています。

❹. XRPは分散化されていない

XRPの62%はリップル社が保有しています。

そして毎月10億XRPを市場に放出しています。今後継続して続けられるXRPの売却を考えれば、投資家は慎重にならざるを得ません。少なくともこの市場売却が終わるまでは直接的な売り圧にさらされることとなります。

また、下記のような記事もXRP投資に慎重になる理由です。

参考 仮想通貨で過去最大の寄付金 リップル共同創業者、サンフランシスコ州立大学に巨額XRPを寄付コインテレグラフ

我々が投資をして、価値を維持しているはずのXRPですが、寄付に使われています。銀行送金ではありません。もはや、何のためのコインなのでしょうか?これらも直接的な売り圧となります。

また中央集権的な通貨の弱点は、規制に弱いところです。

デジタル通貨が過去に失敗した理由は、集中型デジタル通貨を規制で殺すのが容易すぎるためです。ビットコインの分散技術は、2000年代のデジタルコイン(E-gold、Liberty Reserve、Tencentなど)の失敗から誕生しました。そのためビットコインは規制などにも極めて強い頑健性を持っています。

リップルは、これらの初期のデジタル通貨と同じ弱点に直面しています。現実問題、XRPが有価証券に当たるのではないかと、集団訴訟されており、裁判で争っています。

❺. XRPは有価証券の可能性が拭えない

XRPは、有価証券であるという集団訴訟の真っ最中です。結論が出るまでは、2020年までかかります。過去のSECの見解では、間違いなくXRPは有価証券です。

詳しくは下記のリンクで解説しています。

リップル(XRP)は有価証券なのか? SECの見解と今後の展開

もし有価証券と判断が出れば、XRPの販売や購入に対して、株式と同様の規制を受けることになります。

過去の売却や、不透明な資金利用を巡って多くの問題が露呈するでしょう。市場はクラッシュし、XRPの価値が見直されることとなります。

❻. XRPの採用≠価格上昇ではない

以上あげたデメリットを払拭して、全てが計画通りに進んだと仮定します。

現在の100倍以上の銀行に採用されて、xCurrentと、xRapidを使用して、さらには巨大国際機関のSWIFTを打ち負かしたと仮定しましょう。さらには有価証券にも当たらないと裁判所が判断したとしましょう。

XRPは毎日5兆ドル規模の取引になります。XRPホルダーはとても幸せです。XRPの価格もmoonするのでしょうか?

しかし残念ながら必ずしもそうではありません。

銀行はXRPを保有することによる価格の変動リスクを負いたくありません。保持することで値上がり収益を狙う銀行はいません。

よって銀行は、なるべく短い期間、XRPを保有することになります。リップルネットワークの速さは4秒です。送金するときだけXRPを調達すれば良いわけです。

詳しくは、下記のリンクでトークンの定量的価値の測り方を解説しています。

つまり、XRPは欲しいときだけ調達すれば良いわけです。今の時価総額は明らかに大きすぎます。おそらくSWIFT程度の2億3000万ドルに落ち着くでしょう。現在のXRPの1280億ドルは明らかに高すぎます。

その点については、仮想通貨界隈では著名なインフルエンサーの大石さんも指摘しています。

❼. XRPはRipple社や創業者の断続的な売り圧力がある

XRPはリップル社やによって断続的に売られ続けています。

もちろんエスクローと呼ばれる仕組みを使って、全てを一度に売却できるわけではありませんが、毎月一定割合のエスクローを解除されたXRPが市場に放出されています。

また、XRPの総量の20%近くを握っている創業者も断続的にXRPを売却しています。創業者Chris Larsen氏やJed McCaleb氏などが、毎月多くを売却していると考えられます。これらは、Ripple社のXRP売却と異なり制限がありません。

詳しい分析は、下記のリンクでされていますが、有志の調査によると、リップル社が公表している売却量よりも多くのXRPが市場に放出されているとされています。

参考 仮想通貨XRP市場の売り圧力か、データ分析企業が指摘するリップル社の事情コインポスト

つまり、XRPは断続的な売り圧力にさらされており、それが他のコインよりもパフォーマンスが非常に悪い原因と考えられます。

現状のXRPのビジネスモデルは、リップル社が大量に握っているXRPを放出するための「パンプ&ダンプ」(詐欺的な)スキームだと言わざるを得ません。詳しくは下記のリンクで、リップル社の「実情の」ビジネスモデルを図解しています。

XRP(リップル)は詐欺(スキャム)なのか? ビジネスモデルを図解

❽. XRPは投資や寄付などに大量に使われている

リップル社は投資や寄付などで多額のXRPを使用しています。

例えば、仮想通貨の少額決済プラットフォームの「Coil」に10億XRP(277億円)の助成金を与えています。もちろんこの助成金はCoilの開発や宣伝に利用されるので、XRPが市場で売却されることになります。277億円が売り圧として浴びせかかる訳です。

参考 リップル、コンテンツ制作者向けプラットフォームのコイルを支援 仮想通貨XRP普及目指すcointelegraph

しかも、このCoilは元Ripple社のCTOが作った会社です。いわば、内輪でお金を工面し合っている訳です。

ちなみに、XRPでの資金援助は、XRPの実用性が高まり、エコシステムの価値を高めるためだ!という反論もありますが、これは誤りです。

Coilはリップル社の資金援助プログラムの「Xpring」を通じて行われましたが、「Dharma」というプロジェクトも同様に「Xpring」を通じて行われました。しかし「Dharma」は「XRPを使用する予定はない」と公式アカウントを通じてツイートしています。

おかしいですね。XRPの実用性拡大のために、XRPで援助しているという名目で、実際にはXRPが使用されていません。20のプロジェクトのうちの1つですが、これが何を意味するのかというと、資金援助されたプロジェクトはXRPの使用を義務付けられてないということです。XRPで資金援助されているのに、XRPを使わないということは、つまり、XRPを売却して運用資金を捻出しているだけだということです。

また、リップル社はサンフランシスコ州立大学に27億円相当のXRPを寄付しています。

参考 仮想通貨で過去最大の寄付金 リップル共同創業者、サンフランシスコ州立大学に巨額XRPを寄付cointelegraph

ここまでいくとやりたい放題です。日本の個人投資家がXRPに期待して長期ホールドをし買い支えたXRPは、全く事業と関係のない学校に寄付されています。もちろん、大学はXRPを順次現金化していきますから、直接的な売り圧力になります。

XRPの供給量がいかに多く、価格上昇が難しいのかについて下記の記事で詳しく解説しています。リップル社のひどい惨状を理解できるはずです。

XRP(リップル)の売り圧がどれだけすごいのか? 価格上昇が難しい根拠

投資をするならビットコイン以外考えられない

もしあなたが、これから仮想通貨に投資しようと考えているのであれば「ビットコイン(BTC)」以外はあり得ないでしょう。

多くの記事が、リップルの将来性やXRPの値上がりを期待させるようなものばかりですが、この記事で説明した通りXRPへの投資はリスキーです。

一方で、ビットコインは仮想通貨の中で唯一「価値の保存(SoV)」として機能しています。詳しくは下記の記事で解説していますが、ビットコインはデジタルゴールドとして確固たる地位を確立するでしょう。リップル社が大量のXRPを保有し、いわば好き勝手に使うような中央集権通貨ではなく、高度に分散化されているビットコインを購入する方が投資先としては賢明でしょう。

まとめ

リップル社は非常に将来性の高い企業ですが、XRPに投資するのはかなりリスキーです。

まず国際的な送金にリップルが採用されるには、SWIFTと比較すると今の100倍近くの銀行と提携する必要があります。さらにはxCurrentのみでなく、xRapidを銀行が採用する必要があります。

また、他の有望なR3などのプロジェクトが失敗に終わる必要もあります。そして現在抗争中の裁判に勝利してSECの規制をくぐり抜けなくてはいけません。

もちろんSWIFTを駆逐できなかったとしても、リップルに価値がないわけではありません。しかし、それはSWIFTのシェアを奪えなかったことを意味しますから、明らかに今の時価総額は高すぎです。

さらに、言うならば、もしプロジェクトの懸念の全て払拭して、リップルが国際送金としての地位を確立したとしても、XRPを銀行が保有するメリットはありません。

なぜなら、利用するときだけ調達すればよいからです。よって、XRPは、およそ2億2300万ドル、つまり1コインあたり0.0023ドルの価値に収束するでしょう。

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