今年のDevcon4のメイントピックは、次期アップデート「コンスタンティノープル」での変更内容についてでしたが、この会議中に密かにEthereum1.xについて話されていたことがわかりました。
この記事ではEthereum1.xで行われる主要な4つの変更について詳しく解説していきます。
Ethereum1.x提案の経緯
イーサリアムは、まだ開発中の暗号通貨ですが、最終アップデートでイーサリアム2.0(別名セレニティ)となることが予定されています。

主要な開発者が集まるDevCon4にて、セレニティに至るまでのアップデートとしてイーサリアム1.xが提案されました。Ethereum1.xは下記の問題を解決することを目的としています。
- スケーラビリティ
- ネットワークの持続可能性
- 開発環境の改善
これら主要な課題を解決することにより、イーサリアムのメインネットに大きな変革をもたらします。最初の1.xを話し合う会議(Sync)は、11月30日に行われChatham House Ruleに基づき録画やライブストリーミングは行われませんでした。
この会議では、4つのワーキンググループからのアップデートが話されました。
- シミュレーション
- State Rent
- eWASM
- chain pruning
4つのワーキンググループについて
イーサリアム1.xは4つのワーキンググループのアップデートが行われる予定ですが、まだ話し合いの段階であり実際には大きく変更されるかもしれません。
EIP(改善提案)という形にはまだなっておらず検討段階だとご理解ください。
❶ シミュレーション(Simulation)
このワーキンググループは3つの機能を提供しようとしています。
1つ目がシミュレーションフレームワークです。これは、データセットをインプットとして入れると、アウトプットを見積もってくれる仕組みです。
2つ目がエミュレーションフレームワークです。これは環境変数を変化させたプロパティがどう変化するかを見ます。
3つ目がテストネットです。上記2つの機能をテストネット上で試せる機能を提供します。
この機能が提供されることによって、プロジェクトを進行に役立つデータをコミュニティメンバーに提供することができます。
❷ State Rent
State Rentのワーキンググループは、スマートコントラクト(EDCC)データのrentシステムの改善を行います。
Rentメカニズムは、増え続けるイーサリアムのステートを減らすことに役立ちます。dAppsが増え続けることによる、ノードの同期時間の削減が目的です。
これらを解決する方法は、ビットコインのライトニングネットワークのようにオフチェインでコントラクトを実行して解決しようとしています。
❸ eWASM
eWASMは新しいEVMを開発しようとしています。現在のEVMは非常に柔軟性が低く、機能が制限されています。
EVMは簡単にいうと、イーサリアムのコントラクトを記述するプログラミング言語です。詳しくは下記のリンクで解説しています。
この改善によりイーサリアムは、プラットフォームとしての地位をより確立していくと考えられます。
❹ chain pruning
chain pruningのグループは、増え続けるイーサリアムのデータストレージサイズを削減することを提案しました。この提案の一部は、過去のブロックやインデックス、ログを削除することも含まれます。
このグループメンバーは、イーサリアムは毎年91GBものストレージ容量が増えていることを指摘しています。
メンバーは、大部分のイーサリアムユーザーは過去のブロックを必要としていないと主張します。一部のユーザーは、データ維持の関係から、賛同しないかもしれないが、必ず実行できると信じています。
まとめ
1.xの時期に関しては、どうなるかわかりませんし、この4つの提案についても実行には長い期間を要します。ワークグループは、改善提案を話し合い修正しながらEIPの作成を進めていきます。
イーサリアムは、2018年以降長期にわたって下落基調が続いていますが、2019年1月にはマイニング報酬を減額する「コンスタンティノープル」の実装が控えています。

さらにEthereum1.xが平行で検討されていくこととなるので、将来性に期待したいところです。Ethereum1.xのより詳しい情報が公開され次第、また追って記載していきます。
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