ライトコインとビットコインキャッシュの違い。電子現金としての性能差

ビットコインは、ホワイトペーパーでは「ピア・ツー・ピアのデジタルキャッシュ(電子現金)である」と説明されています。

しかし、ビットコインのネットワークは、時間をかけて成長するにつれ、「取引手数料の高騰」と「決済の遅延」の問題からデジタルキャッシュとしての役目を果たせないのではないか?と疑問視されてきました。

そして、いくつかの代替暗号通貨が登場しました。ビットコインキャッシュ(BCH)とライトコイン(LTC)です。この記事では、互いに競合相手となる二つの通貨の違いについて詳細に説明します。

ライトコイン(LTC)の誕生

2011年に、Googleのソフトウェアエンジニア、チャーリー・リー氏は、空き時間にビットコインのコードを複製し、新しいハッシュアルゴリズムより速いブロック時間そしてより大きな総供給量に調整したライトコインを作成しました。

ライトコインは、ビットコインが「デジタルゴールド」であれば、「デジタルシルバー」として誕生しました。つまり、ライトコインは、小規模で日常的な取引での使用を目的としていました。

ライトコイン(LTC)とは?
  • ビットコインの1/4のブロック時間: 2.5
  • ビットコインの4倍の発行数量: 8400LTC
  • 新しいハッシュアルゴリズム

ビットコインキャッシュの誕生

ライトコインの誕生から6年後の2018年に、ビットコインのネットワークの取引手数料が急騰し、決済が大幅に遅延しました。

ビットコインは大きな論争の的となり、ハードフォークすることとなります。そして誕生したのがビットコインキャッシュです。

ライトコインと同様に、ビットコインキャッシュは、デジタル取引に適した通貨を作成することを目的としていました。ビットコインキャッシュは、ビットコインのブロックサイズの制限を1MBから8MBに増やしたフォーク通貨で、ビットコインのトランザクション量の4倍~8倍の処理が可能になりました。

ビットコインキャッシュ(BCH)とは?
  • ブロックサイズが8MB(ビットコインの8倍)

ライトコインとビットコインキャッシュの比較

下記が、ビットコインキャッシュのハードフォークから6か月後の、201821日のビットコインキャッシュとライトコインの比較です。

 ビットコイン
キャッシュ(BCH)
ライトコイン(LTC)
時価総額$23,646,000,000$7,155,600,000
総供給量16,944,500BCH55,025,520LTC
ブロックサイズ制限8MB1MB
平均ブロック数/時間523
平均取引量$822.81$636.81
平均取引手数料$0.16$0.23
平均取引数/時間10082415

それから、2019215日の1年後の比較は下記の通りです。

 ビットコイン
キャッシュ(BCH)
ライトコイン(LTC)
時価総額$2,141,300,000$2,546,100,000
総供給量17,610,315BCH60,502,096LTC
ブロックサイズ制限32MB1MB
平均ブロック数/時間623
平均取引量$2.59$57.33
平均取引手数料$0.002$0.025
平均取引数/時間617986

ビットコインキャッシュとライトコインが使い勝手の良い電子キャッシュとしての使命を果たしているか評価するために、3つの軸で比較します。

  1. スケーラビリティ: ビットコインキャッシュとライトコインのトランザクションスループットのスケーリング方法
  2.  取引量:ビットコインキャッシュまたはライトコインを使用している人の数が増えているかどうか
  3.  マイニング: ライトコインとビットコインキャッシュは、マイニングの集中化がどれだけ進んでいるか

これらの違いを掘り下げると、ビットコインキャッシュとライトコインは、多くの取引のための、ネットワークを拡張することに関しては異なる理念を持っていますが、実際には大きな違いがないことが理解できます。

どちらも取引量が過去1年間で大幅に減少しているため、世の中が電子キャッシュを必要としているのか、それとも望んでいるのかを疑問視する声もあります。

ブロックサイズはまだ重要ではない

現在、ビットコインキャッシュのブロックサイズは32MBですが、ライトコインのブロックサイズは1MBです。ただし、ライトコインブロックは2.5分ごとに追加されますが、ビットコインキャッシュの場合は10分です。

つまり、ビットコインキャッシュのブロックは、同じ期間でライトコインのブロックの約8倍の容量があります。

ビットコインキャッシュの平均トランザクションサイズは約250バイトです。10分ごとに32MBのブロックが生成されるため、ビットコインキャッシュは理論的には1時間あたり768,000トランザクション、または1日あたり18,000,000トランザクション以上を処理可能です。

一方、ライトコインの平均トランザクションサイズは約443バイトです。2.5分ごとに1MBのブロックが生成されるため、ライトコインは理論的には1時間あたり54,144のトランザクション、または1日あたり1,299,000のトランザクションをサポートできます。

ビットコインキャッシュとライトコインのサポートできる取引量の違いやブロックサイズの違いは、スケーリングについて開発者コミュニティがどのように考えているかを表しています。

下記がそれぞれの通貨のスケーリングに対する考え方です。

ビットコインキャッシュのスケーリング

ビットコインキャッシュの支持者は、当初ビットコインのブロックサイズを1MBから8MBに増やすことを支持し、その後、ブロックサイズ制限をさらに32MBに増やしました。

彼らは、ブロックサイズを大きくすることで、ビットコインキャッシュが毎日の小規模な取引のデフォルト通貨になることを可能にすると考えていました。

ライトコインのスケーリング

ライトコインの開発者たちは代わりに、レイヤ2のソリューションを使って規模を拡大する実験に集中しています。

ただし、ブロックが50%以上になった場合には、ブロックサイズを大きくすることも視野に入れています。


過去3か月間で、ビットコインキャッシュのブロックは1 MBを超えることはありませんでした。
言い換えれば、彼らはまだビットコインキャッシュのより大きいブロックサイズを実際には利用していない。(出典:BitInfoCharts

これまでのところ、ビットコインキャッシュの平均ブロックサイズはわずか28キロバイトであるため、ビットコインキャッシュの巨大なブロックサイズ制限はまったく無意味です。

ビットコインキャッシュの採用が指数関数的に増加した場合、ネットワークは今日のライトコインよりも高いトランザクションスループットを処理する可能性があります。しかし、これまで、そのような状態になったことがありません。

過去3ヶ月間で、ライトコインのブロックサイズは60kbを下回っています
ライトコインの1MBのブロックサイズ制限を大きく下回っています。(出典:Bitinfocharts

ライトコインでは、同様に、平均ブロックサイズは現在18KBで、ライトコインの1MBのブロックしきい値を大幅に下回っています。

ビットコインキャッシュでは、平均ブロックサイズは現在ブロック制限の0.1%です。ライトコインでは、平均ブロックサイズはブロック制限の1.7%です。

ブロックサイズの議論は、物議をかもしていますが、大きなブロックの利点はあまり活かせていません。

ビットコインキャッシュとライトコインはスケーリングに異なるアプローチを採用しています。前者はより大きいブロックで取引量をスケールし、後者はLightningと他のレイヤ2ソリューションでスケールします。

しかし現在のところ、各ネットワークの取引量はそれらのネットワークが維持できる量を下回るため、その議論は時期尚早である可能性があります。

LTCもBCHも取引量は多いが通貨の役目は果たせていない

ビットコインキャッシュとライトコインはどちらも、使いやすくて決済の速いデジタル通貨を作成したいという願望から生まれました。

しかしどちらも、その利点を生かせるほど取引量がありません。

どちらも、より安い料金で、ビットコインよりも早く取引を確認することができますが、両方のネットワークの取引量は、ビットコインの取引量を大幅に下回っています。

ビットコインキャッシュとライトコインはどちらも、ビットコインよりも日常の取引に使いやすいようにする多くの特徴があります。平均取引手数料$ 0.002 USDのビットコインキャッシュは、平均取引手数料$ 0.025のライトコインよりも送信と使用が安価です。

しかし、ライトコインのブロックはより速く生成されるため、トランザクションはビットコインキャッシュよりも約4倍速く確認され、ビットコインキャッシュの10分に対して2.5分で完了します。

20189月のビットコインキャッシュハードフォークの1年後、ビットコインキャッシュは史上最高の取引高200万に達しました。しかし現在では、ビットコインキャッシュ取引量は約99%減少し1日当たり10,000件に減少しました。

過去1年間で、ビットコインキャッシュ取引は20189月に200万まで急上昇し、
2月には1日あたり約16,000件の取引に減少しました。(出典:Bitinfocharts

その一方で、ライトコインの取引高は20181月に1日当たり225,000件でピークを迎えましたが、現在は1日当たり22,000取引に落ち込んでいます。

ライトコインの取引は、20181月の225,000件近くの取引を最高値として、
現在は1日当たり22,000件の取引まで安定しています。(出典:Bitinfocharts

全体的な取引量の面では、ライトコインは過去数ヶ月で1日あたり2万から3万件の取引で勝者となっています。

これとは対照的に、ビットコインキャッシュは1日あたり1万トランザクションです。ビットコインキャッシュのトランザクションが少ない理由はいくつか考えられます。

1つ目の要因は、ライトコインの上に構築されたLite.imのようないくつかのサービスは携帯電話でLTCトランザクションを送受信することが可能ですが、ビットコインキャッシュには同等のサービスは多くありません。

2つ目の要因は、昨年、ビットコインキャッシュが敵対的なハードフォークを行いビットコインキャッシュとBitcoin SVに分割されたことがあげられます。

分岐後、ビットコインキャッシュとBitcoin SVの時価総額は分岐前のビットコインキャッシュの時価総額を下回りました。これは、ハードフォークがビットコインキャッシュに対する信頼を傷つけた可能性を示唆しています。

 BTCBCHLTC
平均ブロック時間10分35秒10分8秒2分30秒
平均取引手数料$0.32$0.00$0.03
平均取引量/時間13,839617986

より安い料金と、より速い決済時間にもかかわらず、ビットコインキャッシュとライトコインの取引量はビットコインの取引量より1桁少ないです。これは、デジタルキャッシュにまだそれほど関心がないためである可能性があります。

インターネットでの日常的な取引では、ほとんどの人はデビットカードやクレジットカードで十分便利だと思うかもしれません。

もう1つの理由は、ビットコインの取引手数料が過去1年間で大幅に減少したという事実と関係があるかもしれません。ビットコインでの取引が多くなり、手数料が増えた場合は、ビットコインキャッシュとライトコインへの切り替えが増える可能性があります。

両方のチェーンでのマイニングは集中管理されている

ライトコインはマイニングの集中化を避けるために、ハッシュアルゴリズムが特別に設計されました。

一方、ビットコインキャッシュのフォークは、当時のBitmainの最高経営責任者であるJihan Wuを含む、最大のビットコインマイナーの何人かによってサポートされていました。

しかし実際には、ライトコインとビットコインキャッシュのマイニングは、双方共に今日ではかなり集中化されています。

ライトコインは、BitcoinSHA-256よりもメモリ集約的なScryptアルゴリズムを使用しています。この決定は、ASICチップを使用することで、2011年にビットコインで既に一般的になっていたライトコインをマイナーの集中化から解放することを目的としていました。

しかし、ライトコインのローンチ後に、ASICチップの改良が進み、ScryptSHA-256の違いは重要ではなくなりました。今日、ライトコインのハッシュ処理能力の大部分はASICによるもので、ライトコインのマイニングは比較的集中管理されています。ライトコインの上位4つのプールは、ネットワーク全体のハッシュ処理能力の58.4%を制御しています。

ライトコインの上位4つのプールは、ネットワーク上のハッシュパワーの58.4%を制御します
(出典:
LitecoinPool.org

ビットコインキャッシュも同様に集中管理されています。ビットコインキャッシュでは、上位4つのマイニングプールがネットワーク上の53.7%以上のハッシュパワーを制御し、ライトコインとほぼ同様に集中化しています。

ビットコインキャッシュの上位4つのマイニングプールが、ネットワークの53.7%のハッシュパワーを制御しています
(出典:BTC.com

ビットコインキャッシュに批判的な人は、より大きなブロックがマイナーの集中化につながると主張しながら、ライトコインとあまり違いが見られないことは興味深い事実です。

ライトコインはもともとマイニングの集中化を妨げるように設計されていた一方で、ビットコインキャッシュは大規模なマイナーの支持により作られました。しかし、現在では、両チェーンともに高度なマイニングの集中化が見られています。

デジタルキャッシュ(電子現金)の準備ができているか?

ライトコインは最近「the Flappening」と呼ばれる時価総額がLTC>BCHとなりました。

しかしながら、両方の通貨は時価総額で5位と6位でまだ非常に近い位置にいます。またかなり近い性質を持っています。

どちらも、低料金で迅速な決済時間で、日常的な決済に利用することを目的としています。しかし、2つの通貨はトランザクションのスループットを拡大するための考え方が異なっています。一方で、実際にはこれらの異なる考え方を検証できるほどの十分なトランザクション量が発生していません。

ライトコインとビットコインキャッシュは、デジタルキャッシュの王座を目指す2つの主要通貨です。

しかし、デジタルキャッシュの需要はまだそれほど高くないようです。

しかし、今後暗号通貨が広く普及すれば、レイヤ2スケーリングのライトコインとより大きいブロックサイズのビットコインキャッシュが勝つかどうかを検証できるでしょう。両通貨がどのように成長し、スケールするかのテストの場はこれからと言えそうです。

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